「高齢者は脱水になりやすい」という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
実は高齢者が脱水になりやすいことには明確な理由があります。
今回は高齢者が脱水になりやすい理由や脱水にならない方法など、脱水に関して詳しく解説します。
- 高齢者が脱水になりやすい理由
- 体内の水分の理想状態
- 脱水にならないためにどうすべきか
- 体内から水分が喪失するとどうなるか
ぜひ最後までお読みください。
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脱水症とは
脱水症とは体内の体液が不足している状態のことを言います。
体液とは体内にある水分のことで、血液やリンパ液、唾液などのことを指します。
脱水症は早期発見をしないと重篤な病気につながる可能性があります。
脱水症について詳しく知り、いざという時に備えましょう。
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高齢者が脱水になりやすい理由
高齢者が脱水になりやすい理由にはさまざまなものがあります。
以下で一つ一つについて解説します。
体内の水分量の違い
加齢によって割合は変わりますが、成人の身体に占める水分(体液)は60%です。
この水分(体液)には血液も含まれます。
対して高齢者の身体に占める水分(体液)の割合は成人よりも10%も少ない50%です。
高齢者の水分(体液)が成人よりも10%も少ないわけですから、夏場に高齢者が熱中症のリスクが高くなることも頷けます。
喉の渇きを感じづらくなる
高齢者は感覚機能の衰えから、喉の渇きを感じづらくなります。
喉の渇きを感じづらくなると、水分の摂取量が減り、脱水になりやすくなります。
腎臓の働きの低下
腎臓には体内の水分量をコントロールする働きがあります。
しかし加齢とともに、腎臓の働きは低下していきます。
水分量をコントロールできなくなると、体液のバランスが崩れ、脱水になりやすくなります。
薬の影響
高齢者が服用している薬の中には利尿作用があるものもあります。
尿の排出により、体内の水分量が減り、脱水になりやすくなります。
脱水にならない理想の体内の水分量
冬になると大活躍の鍋料理ですが、毎年作られたり、食べたりする方は多いかと思います。
具材もスープの味も多種多様なアレンジができる鍋料理はとても重宝しますよね。
鍋料理は①具材を切り②具材を鍋に並べて③スープを入れて④煮込む。
基本的にはこんな流れで作られるかと思います。
この鍋料理を体内の水分(体液)に見立てて考えてみましょう。
成人の場合で例えます。
鍋を身体、具材を臓器、スープを体内の水分(体液)、具材に含まれる水分も体内の水分(体液)に見立てます。
なんだかあまり気持ちのいい例えでないかもしれませんが、ご理解ください。
具材が40%でスープが60%とします。鍋料理を美味しくするには、鍋をぐつぐつと時間をかけて煮込みますよね。
煮込む理由は「スープ」を具材にたっぷりと浸み込ませるためです。
鍋の中をスープが循環し、上から下、下から上へと浸み込むから美味しい鍋となります。
体内の水分(体液)も同じです。
身体の隅々まで満ちて、臓器や細胞の隙間に行き渡ることで臓器を元気に働かせることができます。
当然ながら、スープが足りない鍋は美味しくありません。
人間の身体も水分(体液)が足りないと身体を元気に保つことができないのです。
身体の水分量(体液量)を保たないと元気な身体ではなくなって、不調をきたしてしまいます。
脱水にならないために
人間の身体の水分(体液)は出入りをしています。
まずは身体から出ていく水分(体液)と量を確認します。
便と共に200~300mlが排出されます。
他にも皮膚や肺からも700~1,000mlの水分が出ていきます。
これを不感蒸泄と言い、皮膚や肺から蒸発する水分のことで発汗は含みません。
内訳は呼吸で400ml、皮膚で600mlが蒸発してしまいます。
もう1つは排尿で1,500ml程度が排出されます。
合計すると2,400~2,800mlも排出しているのです。
ここには発汗は含んでいませんので発汗を含めるともっと多い量の水分が身体から排出しているということになります。
先にも書きましたが、元気な身体を保つには排出した分以上の水分を摂取しなくてはなりません。
まずは3食の食事で必要な栄養を摂ることで、ご飯や野菜、肉、魚などから700~1,000mlの水分を摂取できます。
これは皮膚や肺から蒸発する水分と同じ量となります。
そして、3食の食事で必要な栄養を摂取すれば、体内で脂肪や糖質などの栄養素が燃焼し、燃焼水という水分が発生します。
これが便で排出した200~300mlと同じ量になります。
残りは排尿で出ていく1,500ml分の補給となりますので、この1,500ml分を飲水で補給をします。
食事や燃焼水で補給される水分は意識しなくては補給できますが、1,500mlを飲水で補給するとなるとこれは意識しないと飲めなそうです。
ましてや、発汗で排出した水分を加えると1,500mlの飲水でも足りないわけですから、飲むだけでも結構大変です。
脱水になるとどうなる?
身体から排出する水分の合計量から飲水で少なくとも1,500mlの補給が必要だと書きましたが、実際にそれだけの飲水をできている方は少ないことでしょう。
身体から水分が喪失するとどんな不調をきたすのかを解説します。
体重50kgの高齢者で例えます。
高齢者の身体の水分(体液)は50%ということから、体重50kgの高齢者の水分(体液)は25 ℓということになります。
このうち、1%の水分が喪失されると「意識障害」が起こります。
ここで言う意識障害とはイライラ・ウトウト・ボーっとする・落ち着かないといった状態のことです。
25ℓの1%は250mlです。
500mlのペットボトルのわずか半分の量です。
2%~3%で体温上昇・循環器に影響が出ます(2%=500ml、3%=750ml)。
夏場によく見る熱中症のような状態になります。
さらに5%で運動能力が低下(特に持久力)します(1,250ml)。
スポーツ選手も試合の後半に脱水症状になる方を見ることがあるかと思います。
7%で幻覚が出現します(1,750ml)。
そして、10%の水分(体液)を喪失すると意識消失してしまい、臓器が停止し死んでしまいます(2,500ml)。
災害が起こると行方不明者が出ます。
自衛隊等が救助に出ますが、このときによく「デッドライン」という言葉を聞いたことがないでしょうか。
これは災害が起きてから72時間が経過することを意味しています。
この意味は災害が起きてから72時間飲まず食わずだと身体の中の水分が10%喪失した状態になり、死んでしまうということです。
ですから、生きる上でも水分が大切だということがよくわかります。
普通に生活をしていれば10%の水分喪失になる可能性は低いので安心してくださいね。
ただし、1%の喪失、250mlや2%の500ml喪失なら誰がいつなってもおかしくないです。
特に高齢者で飲水を1,500ml以上摂取する方は多くありませんので、ほとんどの方が1%以上の「脱水」と言えるでしょう。
高齢者の脱水についてのまとめ
今回は脱水に関して詳しく解説しました。
以下本記事のまとめです。
- 体内の水分量の違い、喉の渇きを感じづらくなること、薬の影響、腎臓の働きの低下などから高齢者は脱水になりやすい
- 体液が身体の隅々まで満ちて、臓器や細胞の隙間に行き渡る状態が理想
- 脱水にならないために排出した分以上の水分を摂取することが大事
- 体液の1%を喪失すると「意識障害」が起き、体液の10%を喪失すると死に至る
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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