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認知症の方の会話の特徴とは?会話の際のポイントも解説します!

高齢化が進む日本において、認知症の方の数は年々増加しています。
ご家族が認知症になり、日常的に認知症の方と接する機会があるという人も多いのではないでしょうか。

そこで、認知症の方との会話がギクシャクする、また、噛み合わないといった特徴を感じることはありませんか?

今回は、認知症の方の会話の特徴について以下の点を中心にご紹介します。

  • 認知症の方との会話がギクシャクする理由
  • 認知症の方の会話の特徴
  • 認知症の方と会話する際のポイント

認知症の方の会話の特徴を押さえて、介護の対策をするためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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まずは認知症の正しい理解を

まずは認知症を正しく理解するために以下の3つを挙げます。

  • 認知症とは
  • 認知症の症状について
  • 認知症の原因について

それぞれの内容についてご紹介します。

認知症とは?

認知症は、脳の病気や障害などさまざまな原因で認知機能が低下して起こる状態です。
認知機能が低下することで、日常生活全般に支障が出てくる状態のことを認知症と言います。

認知症の症状は?

認知症には、脳の細胞が死んだり、脳の機能が低下することで起こる中核症状があります。
主な中核症状には以下のような障害が挙げられます。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 理解・判断力の低下
  • 実行機能障害
  • 言語障害(失語)

中核症状では具体的には以下のような症状があらわれます。

  • さっき聞いたこと、したことを記憶することが難しくなる(記憶障害)
  • 時間・年月日・季節や場所、自分と他人の関係性などがわからなくなる(見当識障害)
  • 情報処理能力が低下する(理解・判断力の低下)
  • 物事を順序立てて効率よく行うことが難しくなる(実行機能障害)
  • 言葉の理解・表出がうまくできなくなる(言語障害(失語))

認知症になると、コミュニケーションにずれが生じるのは中核症状によるものです。
例えば以下のようなことが起こって、会話がかみ合わなくなるのです。

  • 相手の話していることが理解できなくなる
  • 会話が上手くかみ合わない
  • 会話ができなくなる

などです。

認知症の原因は?

認知症には原因により以下のような種類があります。

【アルツハイマー型認知症】

認知症の中でもっとも多く脳神経が変性して脳の一部が委縮する過程で起きる認知症です。

【血管性認知症】

脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を原因とする血管性認知症です。

【レビー小体型認知症】

脳の側頭葉の委縮や後頭葉の委縮や活動の低下により起こる認知症です。
パーキンソン病のような症状があらわれます。

【前頭側頭型認知症】

前頭葉や側頭葉を中心とした脳の萎縮を原因として起こる認知症です。

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認知症の方との会話がギクシャクする理由


在宅介護や施設へ訪問し、認知症の方と会話すると、話が噛み合わないと思ったことはありませんか?
ついイライラしたり、不安になったりしますが、認知症の方との会話がギクシャクするのには理由があります。

理由について解説していきます。

そもそも認知症の状態とはどのようなものかご存知ですか?
認知症とは、脳の病気や障害など様々な原因により認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態です。

その支障の一つが、会話がギクシャクすることです。
会話とは、注意力や記憶、見当識、社会的認知を伴ったコミュニケーションを必要とする行為です。
これらの必要要素が失われてしまうと会話に支障が出てしまいます。

具体的には、以下のような特徴が表れます。

  • 自分の言動を記憶していない
  • 一度にたくさんの情報を処理できないため、あることが頭に浮かぶとそれだけを繰り返し考える
  • 注意力の低下から周りに気を配れなくなる
  • 見当識が低下しているため、今自分がどこにいて、何時で、自分が何者かを理解したうえでの合理的なアウトプットができなくなる
  • 目の前の人が誰かわからなくなる
  • 社会的認知(相手の身振りや表情、心中など)を読み取り、その空気に見合った言動をとれなくなる
  • 比喩やシャレの意味を理解する力が低下して、その言葉通りの意味にしか解釈できなくなる

認知症の方は、相手の嫌悪は理解することができます。
認知症の方にとって、相手のイライラやうんざりするような気持ちは、自分に嫌悪感を向けていると感じてしまうのです。

また、認知症の方は自分の言動の記憶や見当識が無い場合がほとんどです。
そのため、知らない人に嫌われることや嫌悪感を抱かれている理由が理解できないのです。

認知症の方の会話の特徴とは

疑問
認知症の方の会話には、どのような特徴があるのでしょうか?
大きく2つに分けて特徴を説明していきます。

同じことを何度も繰り返す

認知症の方の会話の特徴は自分の言動に対する記憶が無いため、同じことを何度も繰り返してしまいます。

そのため、たった今自分が質問した内容すら記憶から除外され、何度も同じ質問を繰り返してしまいますが、本人にとっては毎回初めて聞くことなのです。

回答についても同様のことがあります。
脳の損傷などによって思考の切り替えができなくなるため、同じ言葉や行動を繰り返してしまう保続という症状により、最初の回答を繰り返してしまうのです。

同じことを繰り返すのには記憶力などの身体的な要素だけではなく、精神的な要素も関係してきます。
認知症の方は、自分に入ってくるさまざまな情報を整理して受け取り、処理することが難しくなっています。
そのため不安が強くなっていく特徴があります。

例えば「私はここにいて良いの?」と聞いてくる場合は、「迷惑をかけているのでは?」という不安を感じている可能性があります。
安心できる状態だと確認したくて何度も同じことを聞いてしまうのです。

このように、認知症の身体的・精神的な理由を知らないと、「認知症の方は同じことを何度も繰り返す」という印象を持つことに繋がります。

辻褄が合わない・作話する

認知症の方本人からすると作話しているつもりはありません。
認知機能が衰えているため実際の記憶を失ってしまうことや、その反対に、部分的な情報だけが残っているために矛盾が生じることがあります
さらに、矛盾を正そうとして、自分にとって都合の良いストーリーを作ってしまうこともあります。

作話の元になっているのは、昔の記憶が関係している事も多いようです。
今起きている出来事が理解できずに、昔の記憶で補おうとしているためです。

話の筋が通っていることもあるので、話し手が認知症の方だと知らない人には作話ではないように聞こえます。

作話の中には「〇〇にいじめられている」「〇〇がご飯を食べさせてくれない」というように、他人に責任を押し付けたものもあります。
介護する側にとってはとてもストレスが溜まることです。

目の前にある自分の知らない世界や、自分の言うことが否定されてしまう世界から、自分の事を守ろうという気持ちが他人に責任を押し付ける理由になります。

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認知症の方と会話する際のポイント


皆様の中には、認知症の方と頻繁に会話する機会がある方もいることでしょう。
認知症の方との会話がギクシャクする理由や特徴について理解したうえで、以下のような対策を試してみてください。
すぐに実践できることがあるかもしれないので、ぜひ一度ご覧ください。

叱らない

認知症の方にも自尊心は残っています。
自分の言動について叱られてばかりだとストレスが溜まる一方です。

認知症の方がとった行動に対して、否定的ではなく受け入れるような態度で接することが大切です。

ジェスチャーする

言葉以外のコミュニケーションは、認知症になっても記憶に残りやすい場合が多くあります。
手を取りながら話してみる、ボディタッチをしながら接してみるなど、ジェスチャーを取り入れるのもおすすめです。

本人のペースに合わせる

認知症による思考力や身体能力の低下によって、一度にできる仕事量が減ってしまうのは仕方のないことです。
何をするにも時間がかかってしまうことを前提にして、急かしたりイライラしたりせず、本人のペースに合わせましょう。

自分の言動を覚えていないことや作話も、本人にとっては本当のことのつもりで話しているため、否定せずに、自尊心を傷つけないようにすることが大切です。

目線を合わせる

認知症の方は車いすやベッドで過ごすことが多くなります。
立ったままで上から話しかけられても、どこか見下されているような印象を受けたり、不安を感じたりしてしまいます。

目線の高さを合わせることは、気持ちよくコミュニケーションを取るために重要なことです。

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まとめ:認知症の方との会話の特徴

まとめ
ここまで認知症の方の会話の特徴についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

  • 認知症の方との会話がギクシャクするのは、注意力や記憶、見当識、社会的認知を伴ったコミュニケーション能力が失われてしまい、会話に支障が出てしまうから
  • 認知症の方の会話の特徴は、同じことを何度も繰り返す、辻褄が合わない、作話するなど
  • 認知症の方と会話する際のポイントは、叱らない、ジェスチャーする、本人のペースに合わせる、目線を合わせるなど

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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