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深呼吸で心と体を準備する

ワンポイントリハビリ その5

ちまたでは健康や仕事の効率を上げるためなど、瞑想がちょっとしたブームになっているようです。書店に行くと、瞑想に関連する書籍が平積みされているのを目にすることも少なくありません。

詳しくは専門書に委ねますが、姿勢を整え呼吸に集中するというだけで、脳がすっきりとし、疲労回復や、集中力の向上などが期待できるそうです。手軽で、何せお金もかかりませんから、やらない手はないと言えそうです。

しかし、これだけ多くの書籍やメディアなどで勧められていることを少し斜めに見ると、手軽で効果が高いのに、多くの人にはなかなか習慣化されていないという現実も浮かび上がってきます。呼吸という普段意識しないことを意識する、それを短時間でも習慣にしていくというのは本当に難しいのでしょう。

人前で話す前に、何かの競技を行う前に、心を落ち着かせ能力を十分に出し切れるよう、自然と行っているのが深呼吸です。大きく息をして酸素を体に取り入れ、しっかりと息をはき出す。たったそれだけで緊張がほぐれ、良い結果につながることを誰もが経験するからこそ、ここぞという時に気がついたら深呼吸をしているのだと思います。

瞑想の専門家には叱られるかも知れませんが、これも小さな瞑想なのだと思います。

大きく息を吸い込むためには背すじが伸びて自然と良い姿勢が作られます、そして最後までしっかり息を吐き出すためには、息をはくことに集中する必要があります。

酸素をたくさん体に取り入れること、それは体を動かすための大切なエネルギーの供給です。そして、背すじが伸びれば、姿勢を整える筋肉が働き脳は覚醒します。息をはき切ることに集中すると気持ちが自然とリラックスしていきます。つまり、臨戦体制が整うわけです。

こんなに良いことがあるのですから、ここぞという時だけではなく、普段の生活で何か活動を開始する前に深呼吸をしてみるのも良いのではないかと思います。活動をするために心と体が準備されると、あとは普段どおり動くだけです。いつもの生活が、いつものように繰り返されるための秘訣です。

ところで、リハビリという言葉を聞くと、つい体の不自由から回復するための運動を想像してしまいます。しかし、昨今では、予防的リハビリが大切と言われるようになっています。

いつもの生活を、いつものように、いつまでも続けるためのリハビリです。でも結局大切なのは、いつもの生活を、いつものように、いつまでもでも続けることなのです。

深呼吸をして、心と体が準備された状況でいつものことを行う。これだけでも十分効果的な予防リハビリになります。

伸びの運動で始まり、深呼吸で終わるラジオ体操が長く愛されるには理由があるのです。

筆者
大堀 具視(おおほり ともみ)
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