無意識に独り言を発するときがありますが、認知症の方の独り言は一般的な独り言とは異なります。
では、一体なぜ認知症の方は独り言を発するのでしょうか。
今回は認知症と独り言の関係をご紹介した上で、独り言を引き起こす原因や対応方法などをご紹介します。
- 認知症と独り言の関係性
- 認知症が独り言を引き起こす原因と対応方法
- 独り言の対応に疲れた時
この記事をご覧いただき、認知症と独り言の関係について理解を深めるための参考にしてください。
ぜひ最後までお読みください。
認知症の初期症状と聞くと、「物忘れ」や「徘徊」などの症状を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。 しかし、認知症の初期症状はそれだけではありません。 今回は、以下を中心にご紹介します。認知症の初期症状認知症の初期症状が進行す[…]
スポンサーリンク
認知症と独り言の関係
認知症の症状は物忘れなどの記憶障害をはじめとする中核症状と、中核症状によって起こる周辺症状の2種類に分類されます。
周辺症状は中核症状に加え、本人の性格や置かれている環境など様々な要因が相互に影響し合って現れます。
そのため、全ての認知症の方に現れるわけではなく、症状の度合いに違いがあるのが特徴です。
認知症の方は以前できていたことが自力でできなくなり、強い不安や孤独感などを生じやすくなります。
また、家族など身近な方の対応によってはプライドや自尊心が傷つき、どんどん自発性が失われていきます。
その結果、認知症の周辺症状の1つであるせん妄を発症することがあります。
せん妄とは幻覚、妄想、興奮などを引き起こすものであり、その中で独り言が多くみられます。
認知症の方はただ単に独り言を発しているわけではなく、その裏には不安や孤独感、悲しみなど様々な感情が隠れているのです。
スポンサーリンク
独り言が止まらない時の対応方法
認知症の方に独り言の症状がみられると、どう対応すれば良いのか分からない方は多いでしょう。
認知症により独り言が増えてきた場合、まずは原因を突き止めることが大切です。
多くの場合は不安が原因となっているため、何に対して不安を抱いているのかを本人に聞いてあげましょう。
そして、不安の原因が分かったときは否定せず、しっかり認め受け止めることが重要です。
独り言が現れるせん妄は、明るい日中よりも夜間に出現することが多いです。
夜間は暗いため、日中よりも周囲の状況を認識しづらくなることで不安感が増すのが原因の1つです。
不安の原因を理解した上で部屋や廊下を明るくしたり、手を握ってあげるなど安心感を与えるような対応を取りましょう。
認知症の方が抱える不安を取り除くような環境、状況を作ることが、周辺症状の改善に効果的なのです。
認知症が独り言を引き起こす原因
認知症の方が独り言を引き起こす原因は、独り言の特徴によって異なります。
ここからは、認知症が独り言を引き起こす原因を2つに分けてご紹介します。
いないはずの誰かと話している場合
「あなたは誰?」「どこから来たの?」など、誰かと会話をしているような独り言がみられた場合は、「レビー小体型認知症」の可能性があります。
レビー小体型認知症とは、レビー小体という異常なたんぱく質が脳の神経細胞に蓄積されることで発症します。
手足の震えや筋肉のこわばりなど、パーキンソン病にみられる症状を伴います。
さらに、レビー小体型認知症は見えないものが見える、幻視という症状が現れることが特徴です。
「家に知らない男がいる」「ベッドの上に蛇がいる」などと訴えることがあります。
そのため、誰かと会話をするような独り言がみられるようになるのです。
現在の状況を勘違いしている場合
現在の状況を勘違いしているような独り言の場合は、「せん妄」の可能性があります。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症など、認知症の方はせん妄を合併しやすいです。
せん妄の症状が起こると興奮したりつじつまの合わないことを言うため、現在の状況には合わない言葉を発するようになります。
また、認知症の原因について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
「両親ともに認知症と診断されたが、症状がぜんぜん違う気がする…」「認知症の母が手足をうまく動かせないと言い出したが、これも認知症の症状?」認知症の症状は、認知症の原因となる疾患により異なってきます。今回の記事では、認知症の原因と[…]
独り言の注意点
認知症の方に限らず独り言は誰でも発するものですが、注意すべきことがあります。
ここからは、独り言の注意点を2つご紹介します。
内容
言霊という言葉があるくらい、発する言葉には影響力があります。
「誰にも必要とされていない」「邪魔な存在」などネガティブな言葉ばかり発していると、どんどん自尊心を傷つけてしまいます。
そして、何かあるたびにネガティブ発言をして自分を傷つけるという悪循環に陥ります。
反対にポジティブな内容であればモチベーションややる気の向上に繋がるため、心身に良い影響を与えることができます。
頻度
独り言の内容も重要ですが、頻度によってはただの独り言ではない可能性があります。
1日に1〜2回程度の独り言であれば問題ないですが、それ以上の頻度の場合は軽度認知障害が考えられます。
軽度認知障害とは、認知症の一歩手前の状態を言います。
物忘れなどの記憶障害の自覚があり、日常生活に大きな支障をきたすことはありません。
しかし、認知症に移行する可能性もあるので、注意が必要です。
独り言の予防方法
独り言の予防には、内言語機能を高めることが重要です。
内言語とは、思考の内に留めておく言語で、音声や文字に起こすことを伴いません。
読書は内言語機能を高める効果がありますが、スマートフォンの影響により現代人の読書離れが進んでいます。
スマートフォンで文字に触れるとしても、せいぜいSNSや漫画などです。
しかし、最も重要なことは集中した時間の中である程度まとまった文章をじっくり読むことです。
漫画や雑誌などの短文ではなく、静かな場所で落ち着いて読書をすることが内言語機能を高め独り言の予防に繋がります。
プラズマローゲンとは?サプリについても説明
プラズマローゲンとは、グリセロリン脂質の一種であり、細胞を構成する主要な成分です。
人間の全身のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンであるといわれており、特に脳に多く存在しプラズマローゲンは人間が存在する上でとても重要な成分と考えられています。
しかし、このプラズマローゲンはさまざまな要因で減少しやすい成分でもあります。
酸化ストレスや炎症、神経の変性、感染症や外傷など、さまざまなストレスにさらされることで、プラズマローゲンが減少していきます。
特に、脳の海馬や前頭葉には多くのプラズマローゲンが含まれており、成分の減少と認知症の進行度には関連性があるという報告もあります。
プラズマローゲンは現在、認知症対策のサプリメントとして販売されています。 1995年にアルツハイマー型認知症の患者の、脳のプラズマローゲンが減少していることが確認されました。
その後、2007年にはアルツハイマー型認知症患者の血清でもプラズマローゲンの減少が認められており、プラズマローゲンは認知症と関係があると考えられています。
また、アルツハイマー型認知症の発症には、アミロイドβたんぱくの沈着が関係しているといわれています。
プラズマローゲンは、アミロイドβたんぱくの沈着を抑える効果のほか、脳神経細胞のアポトーシス抑制の効果も見込めるため、プラズマローゲンを摂取することで認知症への対策が期待できます。
出典:認知症との関係|AdvancedMedicalCareInc.
認知症予防に使われるサプリについて知りたい方は、ぜひこちらの記事もお読みください。
認知症予防とは、脳の神経細胞の働きが低下し、認知機能の低下によって社会生活に支障を来さないよう、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味で、生活習慣病対策やサプリメントを用いるなどの予防策があります。[…]
独り言の対応に疲れた場合
認知症の方に頻繁に独り言がみられると、介護者は疲れてしまうでしょう。
では、認知症の方の独り言に疲れた場合はどうしたら良いのでしょうか。
ここからは、独り言の対応に疲れた場合にするべきことを2つご紹介します。
誰かに相談する
認知症の方を介護する上で、多くの悩みやストレスが蓄積されていきます。
自分の家族が認知症であることを周囲に打ち明けることができず、1人で抱え込んでしまう方は少なくありません。
しかし、介護者の不安やストレスが認知症の方に伝染し、余計に独り言を悪化させる場合もあります。
そのため、誰かに相談をすることも1つの方法です。
自分を含め認知症の方のためにも、無理に抱え込まず打ち明けることが重要です。
介護サービスを利用する
介護者の不安やストレスを解消するためには、介護保険サービスの利用も1つの方法です。
家族だけの介護では悩みや不安を解消しきれず、限界を感じる方も多いです。
介護保険サービスを利用すれば、認知症の専門家による日常生活のサポートを受けることができます。
そのため、介護疲れや悩みは軽減されるはずです。
介護保険サービスには訪問介護、ショートステイ、デイサービスなどがあるので、一度検討してみると良いでしょう。
スポンサーリンク
認知症と独り言のまとめ
今回は、認知症と独り言についてご紹介しました。
認知症と独り言についての要点を以下にまとめます。
- 独り言の原因として、認知症の周辺症状であるせん妄などが考えられる
- 認知症の方に独り言がみられた場合は、安心感を与えてあげることが大切
- 独り言を予防するためには、内言語機能を鍛える読書が効果的
- 対応に疲れた場合は、他者への相談や介護保険サービスを利用すると良い
これらの情報が皆さまのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。