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トップページ>認知症を学ぶ>アルツハイマー型認知症>アルツハイマー病のワクチンとは?ワクチンの効果と将来性を解説!

アルツハイマー病のワクチンとは?ワクチンの効果と将来性を解説!

現在、高齢者の4人に1人が認知症または認知症予備群と言われています。

認知症の中で最も多いアルツハイマー病の治療法については、長年さまざまな研究が行われてきました。
ワクチンで予防する方法についても研究されています。

今回は、アルツハイマー病とワクチンについて、以下の項目を中心に解説します。

  • アルツハイマー病が発症する原因
  • ワクチンについて
  • 現時点で行われているアルツハイマー病の治療法

アルツハイマー病の現在の治療法と未来の可能性について理解を深め、もしものために備えることは重要なことです。
ぜひ最後までお読みください。

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アルツハイマー病の発症要因とは

アルツハイマー病は、脳の中にアミロイドβやタウタンパク質という特殊なたんぱく質が異常にたまり、正常な脳の神経細胞が死滅していき、脳全体が萎縮して引き起こされると考えられています。

記憶を担っている海馬という部分から萎縮が始まり、徐々に脳全体に広がります。

認知症の原因疾患の中で一番多いとされているアルツハイマー病は、男性よりも女性の方が発症することが多いと言われています。

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ワクチンとは

ワクチンとは、同じ病気に2回かからないようにする、病気になっても重症化させないようにするための医薬品です。

私たちの日常には細菌やウイルスなどの微生物が存在していて、様々な病気を引き起こす原因となっています。
微生物は病原体と呼ばれ、病原体が体内に入ると病気になり、最悪な場合は死に至ります。

人間の身体には、一度入った病原体が再び身体の中に入っても病気にならないようにする仕組みがあります。
この仕組みを免疫と言います。

免疫は、身体に入った病原体を覚えて、体内で病原体と戦う準備をします。
免疫のおかげで、再び病原体が身体に入っても病気にならないようにできたり、病気にかかっても重症化を防げます。

ワクチンは、この仕組みを利用しています。
ワクチンは、自然感染のように病気を発症させるのではなく、病原体の毒性を弱めたり、無毒化してから身体に投与したりすることで安全な状態で免疫を作ります。

そのため、ワクチン接種後は病原体が入ったとしても、体内に備わっている免疫で退治できるようになります。

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アルツハイマー病治療の現状

ここでは、アルツハイマー病の治療の現状についてご説明します。

残念ながら、現時点でアルツハイマー病を元の状態に戻す治療法はありません
現在行われている治療は、認知症の方が暮らしやすくすることや、介護者の負担を軽くすることを目的としています。

治療方法には非薬物療法と薬物療法があり、ワクチン療法についても研究が進んでいます。

非薬物療法

非薬物療法とは、薬物を用いない治療法です。
認知症の方が今できること、興味があることを活かしながら快適な環境作りを進めます。

脳を活性化させるための回想法や、音楽療法、芸術療法、アニマルセラピーなどさまざまな治療法があります。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のような専門家の指導のもとで行われます。

薬物療法

前述しましたが、アルツハイマー病を元の状態に完全に治す薬は現時点ではありません。
そのため、症状の進行を抑えるための薬物治療が中心になります。

認知症になると、不安感、妄想、不眠などの症状が出やすく、症状を抑えるために薬が処方されます。
例えば、抑うつや興奮のような症状がある場合は向精神薬が処方され、不眠などの睡眠障害の場合は睡眠導入剤が処方されます。

症状の進行を薬で遅らせることで、認知症の方が日常生活を送りやすくなり、介護者の負担を軽くできます。

ワクチン療法

ワクチンによって認知症を治療しようと研究が進められましたが、問題点があり実現には至っていません。

後述しますが、現在もワクチンによる治療の研究はさまざまな形で続けられていて、実現も期待されています。

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アルツハイマー病の薬やワクチンとは?

ここでは、アルツハイマー病の現時点での開発段階・承認段階にある薬やワクチンについてまとめました。

アデュカヌマブ

2021年に世間の話題となったアデュカヌマブは、過去に研究されたワクチン療法の失敗から生まれた新薬です。
このワクチン療法の治験が中止された後、ロジャー・ニッチとクリストフ・ホックという2人の医師が1年以上患者の経過観察を行いました。

その中で、ワクチンではなく抗体そのものを投与するという考えが生まれました。
発見された抗体は、アデュカヌマブと名付けられました。

アデュカヌマブは、2021年6月7日に米食品医薬品局(FDA)にアルツハイマー病の治療薬として承認されました。
しかし、この承認には海外だけではなく日本でも慎重に判断すべきとの声が多くあります。

AADvac1

アルツハイマー病に対するワクチンAADvac1により、脳から異常なタウタンパク質が安全に除去される可能性が示されました。

製薬企業AXON Neuroscience社(スロバキア)のPetr Novak氏らによる研究結果で、2021年「Nature Aging」6月号で発表されました。

しかし、脳の機能を維持できるかどうかは現時点では不明です。

点鼻ワクチン

アルツハイマー病などの認知症の原因とされる異常化したタウタンパク質の蓄積を抑える点鼻ワクチンが開発されました。
京都大iPS細胞研究所の井上治久教授の研究グループが、2020年3月25日に国際学術誌電子版で発表しました。

マウスでの実験では、認知機能の改善などの治療効果が出ているとのことで、実用化されることが期待されています。

食べるワクチン

現在、食べるワクチンの研究も進められています。

ワクチンは、注射からの摂取だと副作用の恐れがありますが、経口摂取なら大丈夫ということが次第に分かってきました。

動物実験では非常に効果的との報告もあり、実現が期待されています。

ワクチンの副作用

1990年代のある日、アメリカの天才科学者デール・シェンクが、ワクチンでアルツハイマー病を治療するというアイデアを生み出しました。
研究成果が発表されると、世界中でアルツハイマー病は治る病気になるかもしれないとの喜びに満ちあふれました。

ところが、人での治験を進める中で重大な問題がありました。
治験した各病院から、急性髄膜脳炎という深刻な副作用が複数発症したということです。
そのため、治験は中止されワクチン療法は志半ばで頓挫してしまいました。

この研究や治験から新たな研究が進められ、アデュカヌマブが生まれました。

開発段階の治療薬がかなりある

現在、世界中の製薬企業がアルツハイマー病治療薬の開発に着手しています。

アルツハイマー病は、正常な脳の神経細胞が死滅していき、脳全体が萎縮して引き起こされると考えられています。

アミロイドβの産生を防ぐ薬剤、アミロイドβを除去する薬剤、タウを除去したりタウの凝集を阻害する薬剤などの開発が進められてきました。
しかし、ほぼ全ての薬剤は開発に成功していません。

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アルツハイマー病とワクチンのまとめ

ここまでアルツハイマー病とワクチンに関して詳しくお伝えしてきました。

  • アルツハイマー病は、アミロイドβやタウタンパク質の影響で脳の神経細胞が死滅していき、脳が萎縮して引き起こされる
  • ワクチンとは、同じ病気に2回かからないようにする、病気になっても重症化させないようにするために用いられる医薬品
  • アルツハイマー病を完全に治す薬は現時点では存在しない
  • 現在の治療は、認知症の当事者が暮らしやすくすること、介護者の負担を軽くすることが目的
  • AADvac1、点鼻ワクチン、食べるワクチンなどが実用化を目指し研究中

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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