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トップページ>認知症を学ぶ>アルツハイマー型認知症>アルツハイマー病の初期症状は?治療法や診断方法についても解説!

アルツハイマー病の初期症状は?治療法や診断方法についても解説!

高齢化が進む日本において、年々増加する認知症。

残念ながら、根本的な治療方法はまだありません。
早期から治療することで、進行をある程度抑制することができます。

一方で、初期症状を見逃している方も多いのではないでしょうか?

本記事では、アルツハイマー病の初期症状について以下の点を中心にご紹介します。

  • アルツハイマー病の初期症状
  • 初期段階に有効な治療法
  • 診断方法
  • セルフチェック方法

早期発見につなげるためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ本記事を最後までお読みください。

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アルツハイマー病の初期症状

アルツハイマー病は認知症の原因疾患であり、アルツハイマー病が原因の認知症をアルツハイマー型認知症といいます。

認知症には、アルツハイマー型認知症以外に、血管性認知症やレビー小体型認知症などがあります。
アルツハイマー型認知症は、日本の認知症患者のなかで、もっとも大きい割合を占めるタイプです。

主なアルツハイマー病の初期症状は以下の通りです。

記憶障害

アルツハイマー病の代表的な初期症状が記憶障害です。
初期段階ならば症状は軽いため、些細な物忘れ程度で済みます。

ただし、アルツハイマー病による記憶障害は、加齢による物忘れと異なり、体験を丸ごと忘れる点が特徴です。

一般的な症状は以下の通りです。

  • 同じ話や質問を何度も繰り返す
  • 物をしまったことを忘れ、常に探し物をしている
  • ついさっきの電話相手が分からない
  • 人と会う約束をしたが、約束自体を忘れる

時間の見当識障害

時間の見当識障害とは、時間を認識できなくなる障害です。

以下のような症状が挙げられます。

  • 真夜中に買い物に行こうとする
  • 真夏に真冬の格好をする
  • 今日の日付が分からない

実行機能障害

実行機能障害とは、物事の計画を立てて実行できなくなる障害です。
複数の情報を処理できないため、家事の同時進行なども難しくなります。

一般的な症状は以下の通りです。

  • 料理の手順が分からない
  • 洗濯しながら掃除に取り掛かれない

理解力・判断力の低下

物事を筋道立てて理解し、その場にふさわしい行動ができなくなります。
また、周囲の状況を分析し、未来の出来事を推測することも難しくなります。

よくみられる症状は以下の通りです。

  • 調味料の種類・量を判断できない
  • 着替えに時間がかかる
  • 部屋が散らかる

無気力

何事にも意欲がわかなくなる状態です。
初期症状であれば、それほど深刻ではなく、最近元気がないなという程度です。

普段こなしていた仕事や家事にも意欲がなくなるため、欠勤や、家事の雑さが目につくようになります。

  • 趣味に関心を示さない
  • 部屋が散らかる
  • 洗濯物が溜まる
  • 仕事を無断で休む
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アルツハイマー病の人は怒りっぽい?

怒りっぽさもアルツハイマー病の初期症状の1つです。
アルツハイマー病によって怒りっぽくなるのには、主に2つの理由があります。

1つ目は、周囲の状況判断ができなくなるためです。
アルツハイマー病は認知症の原因の1つです。

発症すると、記憶力・思考力がゆっくり低下していくのが特徴です。
すると、現在の状況の把握が難しくなります。

同時に、その場にふさわしい振る舞いも困難になります。
結果、不安や混乱を覚える場面が増えるため、怒りがわきやすくなります。

2つ目の理由として、アルツハイマー病の方は感情の抑制が効きにくいことがあげられます。
理由は、脳機能全体の低下に伴い、感情の制御機能が低下するためです。

よって、通常ならば怒りを抑えられる場面でも、我慢しきれずに感情が爆発しやすくなるのです。
つまりアルツハイマー病の方は、もともと怒りっぽくなっているうえ、怒りを感じる場面に遭遇しやすいのです。

なお、アルツハイマー病が進行して日常生活に支障をきたすようになると、認知症と診断されます。
もともと温厚だった方が最近怒りっぽくなったという場合は、アルツハイマー型認知症の前兆かもしれません。

認知症は進行性の病気ですが、治療次第では進行を遅らせることもできます。
できるだけ長く認知機能を維持するためには、早期に治療を開始することが大切です。

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アルツハイマー病の初期治療

現段階でアルツハイマー病を完治させる治療法はまだありません。
しかし、初期段階で治療を開始すれば、進行を抑制できる可能性があります

初期段階で有効といわれている治療について、解説します。

脳トレ

脳を使うことで活性化を図る方法です。
アルツハイマー病は、脳の神経細胞が減少し、情報伝達がうまくいかなくなるために起こります。

脳トレで脳を活性化させると、血流が良くなり、脳に酸素や栄養が行き渡りやすくなります。
情報伝達も活発になるため、認知機能を維持しやすくなります。

  • オセロや囲碁などのボードゲーム
  • テレビゲーム
  • 暗算
  • ぬりえ
  • 書き取り
  • 読書

回想法

昔の体験や思い出について語る方法です。
思い出を振り返ることも、誰かに説明することも、脳を活性化させるのに有効です。

また、過去を思い出すことは単純に楽しくリラックスできる行為です。

認知症の初期段階の方は、「これからどうなるんだろう」という不安を抱えています。

回想法によって過去を懐かしむことで、不安な気持ちをやわらげることができます。

  • 昔の写真を見ながら、思い出を語る
  • 若いころに流行った音楽・映画を鑑賞する

作業療法

手先や体を動かし、脳を活性化させる方法です。
とくに、指と脳はたくさんの神経でつながっているため、指先を使うことは脳の活性化に有効です。

具体的なやり方は、日常動作や趣味など、本人の好みにあわせてなんらかの「作業」を行うだけです。
特別な道具やステップが不要なため、自宅でも簡単に取り組めます。

  • 庭いじり・畑仕事
  • 折り紙
  • 塗り絵
  • ピアノ
  • 簡単な家事

音楽療法

音楽鑑賞や楽器演奏、または歌を歌う方法です。
指先を使った楽器演奏や、歌詞を覚えて思い出すという流れが脳の活性化につながります。

発声は喉の筋肉を鍛えるため、嚥下障害の予防としてもおすすめです。
なによりも、音楽に触れることは気分をリラックスさせます。

自身への不安感が強い認知症の方にとって、精神的なメリットも見込める治療法です。

  • 昔、流行った音楽を聴く
  • 楽器を演奏する
  • カラオケ
  • みんなで合唱する
  • イントロクイズ

薬物療法

認知症の治療には、医薬品を用いることもあります。
薬物療法は大きく分けて、認知機能の改善を図るもの周辺症状を落ち着かせるものの2種類があります。

認知機能の改善を図る治療では、抗認知症薬を用います。
抗認知症薬は、脳の伝達情報を助けることで、認知機能を保持する作用があります。

周辺症状を落ち着かせる治療では、向精神薬や睡眠薬が用いられます。
向精神薬や睡眠薬は、認知症による不安感や無関心、イライラを落ち着かせる作用があります。

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アルツハイマー病の診断

検査

アルツハイマー病の初期症状は軽微であるため、症状だけでは診断できません。

より正確な診断のためには、神経心理学検査や脳画像検査などが利用されます。

神経心理学検査

知能検査や記憶検査の総称です。
簡単なテストを行い、その点数によって認知症かどうかを診断します。

例えば、以下のような検査があります。

  • ミニメンタルステート検査 (MMSE)
  • 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
  • ウェクスラー記憶検査 (WMS-R)
  • ウェクスラー成人知能検査 (WAIS-III)

脳画像検査

脳の画像を撮影し、脳内の様子を観察する方法です。
具体的には、脳の萎縮や脳出血の有無を調べます。

脳の様子を直接見るため、たとえ初期症状を見逃していたとしても認知症を早期発見できます。

一般的な検査は以下の通りです。

  • CT検査
  • MRI検査
  • SPECT検査

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アルツハイマー病の初期のセルフチェック

アルツハイマー病の初期症状と、加齢による物忘れ・理解力の低下を見分けるのは困難です。

もし記憶力や判断力に不安があるならば、こまめにセルフチェックに取り組みましょう。
正確な診断はできませんが、認知症に対する意識づけや、病院を受診するキッカケになります。

アルツハイマー病や認知症のセルフチェックは、WEB上でたくさん公開されています。
無料で利用できるものや、自動採点のものが多いです。

簡単に取り組めるため、積極的に活用してください。
セルフチェックは、神経心理学検査のような簡単なテスト形式が一般的です。

たとえば以下のような設問があります。

  • 物を置いた場所を忘れることがあるか
  • 今日の日付が分からなくなることがあるか
  • 物・人の名前がすぐに思い出せないことがあるか
  • 鍋を焦がしたり、水道を締め忘れたりすることが増えたか
  • 周囲の人に、同じ話・質問を繰り返すと指摘されるか

現在は、認知症検査用のゲームやアプリも、数多く提供されています。

楽しみながらセルフチェックできるため、初期症状の有無に関わらず、単なるゲームとして取り組むのもおすすめです。

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アルツハイマー病と初期症状のまとめ

まとめ

ここまで、アルツハイマー病の初期症状についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

  • 初期症状は、物忘れ、時間の見当識障害、理解力・判断力の低下など
  • 治療には、回想法、作業療法、音楽療法などが有効
  • 診断方法は、大きく分けて脳画像検査と神経心理学検査の2種類
  • WEBテストなどを利用して、セルフチェックできる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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