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アミロイドβとアルツハイマー病の関係は?気になる疑問を徹底解説!

アルツハイマー病と関わりの深いアミロイドβ。
2つのワードをセットで耳にする方も多いと思います。

では、具体的にどのような関係があるのでしょうか?

本記事では、アミロイドβとアルツハイマー病の関係について以下の点を中心にご紹介します。

  • アミロイドβとは
  • アルツハイマー病の「アミロイドβ仮設」の概要
  • アミロイドβの蓄積が始まる時期
  • アミロイドβの蓄積を予防する食べ物

アルツハイマー病を正しく理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ本記事を最後までご覧下さい。

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アミロイドβとは

アミロイドβとは、脳内で生成されるたんぱく質です。

アミロイドβは、脳に発生する「ごみ」のようなもので、健康な人にも存在します。
通常であれば、アミロイドβは分解され、無害な老廃物として体外に排出されます。

しかし、時にアミロイドβ同士が結合し、脳に蓄積することがあります。

アルツハイマー病に発展してしまう経緯については以下でご紹介します。

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アルツハイマー病とアミロイドβ仮説

アミロイドβ仮説とは、アルツハイマー病の発症原因がアミロイドβだと考える意見です。
この仮説は、アルツハイマー病の原因に関する仮設の中では最も有力です。

上述した通り、アミロイドβは脳に蓄積する場合があります。

脳に蓄積したアミロイドβは、「老人斑」というシミを作ります。
老人斑として脳に蓄積したアミロイドβは、有害な毒素を排出し脳神経細胞にダメージを与えます

脳神経細胞がダメージを受け破壊されると、脳内の情報伝達が滞ってしまうのです。
結果として脳が萎縮し、次第に脳機能が低下していきます。

脳の萎縮によって認知機能が低下し、日常生活に支障をきたすようになる状態が、「アルツハイマー型認知症」です。

本来は無害であるアミロイドβが、なぜ「老人斑」という有害なシミになるのかは解明されていません。
近年の研究では、アミロイドβの分解が正常に行われなくなることが、原因だと指摘されています。

アミロイドβの分解がうまくいかなくなる理由として、「加齢」「生活習慣の乱れ」「酵素の働き」といったことが挙げられています。

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アミロイドβの蓄積はいつから始まる?

アミロイドβが蓄積され始めるタイミングは、明確には分かっていません。
一説では、アルツハイマー病の諸症状があらわれる20年以上前と言われています。

アルツハイマー病の発症年齢は、平均65歳~80歳です。

70歳で発症した場合、アミロイドβの蓄積は、50歳前後で始まっていたことになります。

アルツハイマー病の進行は、大きく分けて「前臨床期」「軽度認知障害(MCI)」「認知症」の3段階です。

「前臨床期」は、アミロイドβの蓄積開始とともに始まります。

前臨床期の段階では、アルツハイマー病による諸症状はあらわれず、認知機能や記憶力は健常者と変わりありません。
本人にも異常の自覚はないため、アルツハイマー病を発見できることは稀です。

前臨床期の期間は、およそ20年~30年です。

前臨床期から「軽度認知障害」に移行すると、認知機能や記憶力に、軽微な障害があらわれます

さらに状態が「認知症」に移行すると、日常生活に支障をきたす認知障害が起こります。

アルツハイマー病の発見時期は、軽度認知障害または認知症発症後がほとんどです。

しかしアミロイドβの蓄積は、アルツハイマー病発見の約20年〜30年前から始まっています。
つまり全体的なスパンで見ると、アルツハイマー病は30年以上かけて進行する疾患です。

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アミロイドβの蓄積をおさえる食べ物

アミロイドβの蓄積は、50歳前後の早い段階から始まっています。

アルツハイマー病を予防するためには、若いうちから対策を取らなくてはいけません。

アルツハイマー病の原因であるアミロイドβの蓄積を防ぐには、食事の改善が有効です。
とくに、いくつかの食品に含まれる栄養素はアミロイドβの蓄積予防に効果があります。

そのため、アミロイドβの蓄積を予防する食品を、普段から積極的に摂取することが大切です。

ただし、1つの食品ばかりではなく、色々な食品をバランスよく食べることがポイントです。

魚に含まれるDHA・EPAは、アルツハイマー病予防に有効です。

DHAなどは、とくに青魚に豊富です。
DHAは、脳神経細胞を保護する作用があります。

具体的には、大脳皮質へのアミロイドβの蓄積を防ぐことで、脳神経細胞を守ります。

また、DHAやEPAは、脳の働きをサポートする効果もあります。
脳内の情報伝達がスムーズになるため、認知機能の維持・向上が期待できます。

【食品例】

  • サンマ
  • アジ
  • いわし
  • サバ
  • ウナギ
  • まぐろ

緑黄色野菜・果物

緑黄色野菜に含まれる葉酸は、アミロイドβの沈着を防ぐ効果があります。

具体的には、アミロイドβを増やす物質「ホモシステイン」を抑制することで、アミロイドβの蓄積を減少させます。

葉酸は、とくに「色の濃い葉っぱの野菜」に豊富です。

一方、ブロッコリーやキャベツといったアブラナ科の野菜は、毒素を排出する作用があるため、同じくアミロイドβの沈着防止に有効です。

同じく果物にも、アミロイドβの蓄積予防効果があります。
とくに「ベリー類」は、アルツハイマー病予防に効果の高い果物です。

【食品例】

  • ほうれん草
  • 小松菜
  • 菜の花
  • いちご
  • ブラックベリー
  • オレンジ
  • キウイ

緑茶

緑茶に含まれる成分は、脳神経細胞を保護する効果があります。

すなわちアミロイドβの沈着を防ぎ、認知機能を維持・向上させる働きがあります。

赤ワイン

赤ワインには、「ミリセチン」というポリフェノールが含まれます。

「ミリセチン」は、アミロイドβの蓄積を予防するほか、蓄積したアミロイドβを分解する効果があります。

同じくポリフェノールの1種である「レスベラトロール」は、脳に溜まったアミロイドβを体内に循環させる作用があります。
アミロイドβの脳への蓄積を減少させるため、アルツハイマー病の改善や予防が期待できます。

ただし、アルコールの過剰摂取はかえって認知症リスクを高めます
1日の摂取目安は、グラス1杯程度です。

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アルツハイマー病の検査

アルツハイマー病は、発見が早ければ早いほど治療の効果を高めることができます。

アルツハイマー病の早期発見に役立つ検査をご紹介します。

βアミロイドPET検査

画像検査により、アミロイドβの脳内の沈着状況を調べる検査です。

βアミロイドPET検査では、まず薬剤を注射します。
注射する薬剤は、アミロイドβと結合しやすい性質があります。

つまり脳の画像中で、薬剤が蓄積している部位にはアミロイドβの蓄積が予測されます。

アミロイドβの蓄積が甚だしい場合は、アルツハイマー病が疑われます。
また、βアミロイドPET検査は、現在の発症状況だけでなく未来のアルツハイマー病の発症リスクも調べられます。

具体的には、現在のアミロイドβの蓄積状況をもとに、10年〜20年後の蓄積状況を予測します。

すでに蓄積が始まっている場合、将来的にアルツハイマー病を発症するリスクが高いということです。

βアミロイドPET検査は、アルツハイマー病の予兆を発見できるため、発症前の方の認知症予防にも役立ちます。

ApoE遺伝子検査

アルツハイマー病発症に関わる遺伝子をもとに発症リスクを予測する検査です。

少量の採血のみで結果が分かるため、手軽に受けられます。

MCIスクリーニング検査

アルツハイマー病の前段階である「軽度認知障害(MCI)」のリスクを測る検査です。

MCIは、高い確率でアルツハイマー病に移行します。
しかしMCIの段階で手を打てば、その後のアルツハイマー病の発症・進行を予防できます。

MCIスクリーニング検査では、採血によって血液中のたんぱく質を調べます。
具体的には、アミロイドβの毒性を強める3種のたんぱく質を調べることで、MCIのリスクを推定します。

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脳の活性化はアミロイドβを減らす?

脳の活性化は、間接的にアミロイドβを減少させます。
脳を活性化することで、脳の予備機能が高まるからです。

まず前提として、アミロイドβはアルツハイマー病の原因物質です。

しかし、アミロイドβが脳に蓄積したからといって、必ずアルツハイマー病になるわけではありません。
たとえアミロイドβによって脳神経細胞が減少しても、情報伝達さえスムーズであれば認知機能は低下しません。

情報伝達をスムーズにするために有効なのが、「脳の活性化」です。
脳を活性化させることで、健常な脳細胞を、損傷を受けた脳細胞の予備にあてることができます。

アミロイドβは脳の神経細胞を破壊しますが、一度にすべての細胞を破壊するわけではありません。
一部の脳神経細胞は失われても、その他の部位の脳細胞は生き残っています。

生き残った脳神経細胞は、失われた脳神経細胞の「予備」として、脳の情報伝達を助けます。

つまり、一部の脳神経細胞が失われても認知機能を維持することが可能です。

予備の脳細胞が認知機能を維持する仕組みを、「認知予備機能」と呼びます。
認知予備機能は高ければ高いほど、損傷部位の働きを補う力が強くなります。

認知予備機能を高めるには、日ごろから脳を活性化させることが大切です。

日ごろから脳を活性化させることで予備の脳細胞の老化を防げるからです。

つまり脳の活性化は、間接的にアミロイドβによるアルツハイマー病の発症リスクを下げる効果があります。

脳を活性化させる一般的な方法は以下の通りです。

【脳を活性化させる方法】

  • 趣味を持つ
  • 適度な運動
  • 脳トレ・ゲーム
  • 文章の読み書き
  • 計算
  • 他人との交流(会話・ボランティア活動など)
  • 音楽や絵画の鑑賞

アミロイドβとアルツハイマー病のまとめ

ここまで、アミロイドβとアルツハイマー病についてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。

  • アミロイドβは、脳で生成される「たんぱく質のごみ」
  • 「アミロイドβ仮設」は、アミロイドβをアルツハイマー病の発症原因とする仮説
  • アミロイドβの蓄積が始まるのは、一般的にはアルツハイマー病発症の20年以上前
  • アミロイドβの蓄積を予防する食べ物は、「魚」「野菜・果物」「緑茶」「ワイン」など

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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