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トップページ>認知症を学ぶ>アルツハイマー型認知症>アルツハイマー病って治るの?薬や治療法を解説します!

アルツハイマー病って治るの?薬や治療法を解説します!

アルツハイマー病は誰もがなる可能性があります。
家族や自分自身がアルツハイマー病になった場合、治るのか不安に思う方もいるかと思います。
今回は、アルツハイマー病が治るのかについて治療法とともにお伝えします。

  • アルツハイマー病は治るのか
  • アルツハイマー病の進行を遅らせる薬
  • その他のアルツハイマー病の治療
  • 家族がアルツハイマー病になった時の対応

家族や自分自身がアルツハイマー病になってしまった場合の参考にしてください。
ぜひ最後までご覧ください。

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アルツハイマー病とは

アルツハイマー病は、脳内にアミロイドβやタウタンパク質が溜まり、脳が萎縮することで発症します。

アルツハイマー病の症状は、物忘れなどの記憶障害から始まります。
進行すると、見当識障害や、実行機能障害、物盗られ妄想などが現れます。

中期では、日常生活にも支障をきたし、着替えや排尿などに介護が必要になります。
後期になると、言葉が失われることで会話困難になります。

身体機能の低下から転倒や、嚥下障害からの誤嚥性肺炎などのリスクも高まります。

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アルツハイマー病は治るのか

アルツハイマー病以外の認知症の中には、元々の原因となっている病気を治療することで治る可能性もあります。
正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、甲状腺機能低下症、栄養障害などです。

しかし、アルツハイマー病は、現在の医療では完治することはないとされています。

薬を服用することで進行を遅らせることは出来ますが、それでもゆっくりと進行して行きます。
今ある薬には、アミロイドβやタウタンパク質の蓄積を減らせても、アルツハイマー病の症状を止めたり治したりするものはありません。

今後、アルツハイマー病が治る病気になるには薬の開発が必須と言えます。
2021年6月にアメリカでアルツハイマー病の治療薬が条件付きで承認申請を認められました。
しかし、アルツハイマー病が根本的に治る薬が販売されるまでにはしばらく時間がかかりそうです。

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アルツハイマー病の進行を遅らせる薬

アルツハイマー病が治る薬はありませんが、進行を遅らせるといわれている薬はあります。
現在日本で承認されているアルツハイマー病の薬は下記の4種類です。

アリセプト

軽度から中程度のアルツハイマー病に使用されます。

アセチルコリンを分解する役割りを持つ酵素のアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、脳内のアセチルコリンの濃度を高め神経伝達を助けます。

アリセプトの服用は一日一回です。
剤形は水なしで飲めるOD錠、嚥下機能が衰えてむせてしまう人にはゼリー剤、粉末のままでも水に溶かしても飲めるドライシロップ等があります。
普通錠や顆粒 もありますが、使われることは多くありません。

服用初期は3mgから初め徐々に5mg、10mgと増量していきます。

レミニール

軽度から中程度のアルツハイマー病に使用されます。

作用はアリセプトと同じアセチルコリンエステラーゼの阻害と併せ、アセチルコリン受容体に結合して神経の働きを高めます。

レミニールの服用は一日二回です。
剤形は、OD錠、内用液、普通錠です。

一日8mgから開始し、徐々に増量していきます。

リバスタッチパッチ

軽度から中程度のアルツハイマー病に使用されます。

アセチルコリンを分解する酵素はアセチルコリンエステラーゼだけではなく、ブチリルコリンエステラーゼという酵素もあります。
リバスタッチパッチは、ブチリルコリンエステラーゼも阻害するという特徴があります。

作用する部位が違うので、他のアセチルコリンエステラーゼを阻害する薬で効果が見られない場合や副作用が強い場合に使用されます。

剤形は、アルツハイマー病の薬の中で唯一の貼り薬です。
一日一枚を貼付します。

メマリー

中程度から高度のアルツハイマー病に使用されます。
グルタミン酸は脳内では記憶や学習に関わる神経伝達物質という役割があります。

アルツハイマー病においては、異常なタンパク質によってグルタミン酸が過剰になっています。
正常であれば記憶できる事も、過剰であるために記憶が妨害され困難です。
メマリーは、グルタミン酸の過剰な放出を抑え脳神経細胞の死を防ぐ働きがあります。

メマリーは、一日一回服用します。
剤形は、普通錠、OD錠があります。

一回5mgから開始し徐々に増量していきます。
メマリーにおいては作用機序が異なるためアリセプトなどと併用して服用出来ます

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アルツハイマー病の新薬

上記でご紹介したアルツハイマー病の進行を遅らせる薬とは別に、注目されているのが「アデュカヌマブ」という新薬です。

アデュカヌマブはアミロイドβを減少させる作用があります。
軽度認知障害や軽度のアルツハイマー病の悪化速度を下げる効果が期待されています。

2021年11月時点で米国とアラブ首長国連邦の2ヵ国で承認されており、その他14の国と地域で承認審査中です。
日本においては、2021年12月時点で製造販売承認申請において審議が継続されています。

これまでと異なりアルツハイマー病の原因に対しての治療薬であるため、多くの認知症患者を救う可能性を秘めているかもしれません。

今後の審議に期待が高まります。

出典:厚生労働省「2021年薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録」

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その他のアルツハイマー病の治療

アルツハイマー病の治療法には、薬を使った薬物治療のほかにもいくつか治療法があります。
ここでは、非薬物療法について解説します。

回想法

アルツハイマー病の初期では、最近の事は忘れてしまいますが昔のことは覚えているという特徴があります。
昔の写真を見たり、昔の話をしたり聞いたりすることによって脳が刺激され活性化します。
自発性や活動性が上がることや、他者とのコミュニケーションを取ることを目的とした心理療法です。

認知リハビリテーション

脳を刺激してアルツハイマー病を遅らせる非薬物療法です。
アルツハイマー病の進行を遅らせたり、残っている認知機能や生活の能力を高めたりすることが目的で行われます。

音楽療法

音楽療法は、楽器を使って演奏したり、自分自身の声で歌ったりすることで、身体機能の維持に効果があります。
また、懐かしい音楽を聴くことによって昔の記憶を呼び起こすことや、リラックスすることを目的としています。

園芸療法

園芸療法には、植物の世話をすることでリラックス効果や、役割りを持つことで自信を持つことが期待できます。
他者とのコミュニケーションや、自分で育てた植物を見るという未来に対する期待や達成感を感じることもできます。

リアリティーオリエンテーション

リアリティーオリエンテーションは、正確な記憶を持った付き添い者がいるなかで行います。
簡単な言葉を記憶し、反復することで記憶の維持を期待する方法です。

グループ内で今日の出来事などを話します。
共通のことなどを話し、間違いがあれば互いにグループの中で補完し合ったり助け合ったりします。

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家族がアルツハイマー病になったときの対応

大切な家族がアルツハイマー病になったとき、家族の対応が大切になります。
アルツハイマー病の方が自信を失うような対応をしないように注意しましょう。

今まで普通に生活していた家族がアルツハイマー病になることは、家族にとって耐え難い苦しみとなるでしょう。
尊敬していたご両親や祖父母がアルツハイマー病になったとき、悲しみからつい怒ったり大きな声を出したりしがちです。

ここでは、家族がアルツハイマー病になったときの対応について解説します。

怒らない

アルツハイマー病の家族が間違ったことを言ったり、生活上失敗したりしても怒らないようにしましょう。
怒られることで不安になり、どんどん自信を無くしてしまいます。

今までできていたことも出来なくなり、症状が悪化することもあります。
また、怒られたという嫌な感情だけが残り、怒った人に対しての介護に非協力的になることもあります。

否定しない

間違ったことを言ってもそれを否定することはやめましょう。
間違ったことや記憶違いがあっても「それは違う」と断言せずに、一度は「そうだね」と受け止めましょう。

その上で、ヒントを与えながら正しい記憶を呼び起こすことが大切です。
それでも正しく思い出せない場合も、否定しないようにしましょう。

これも怒った時と同様、否定されることによる自信喪失や嫌な感情が残ることを避けるためです。

急かさない

アルツハイマー病になると動作が遅くなります。

早くできなくても、急かすのはやめましょう。
急かされることも自信喪失につながります。

残った身体機能で出来ることは自分でし、自信を失わせない程度にサポートすることが大切です。

アルツハイマー病が治るかのまとめ

ここまで、アルツハイマー病が治るのかを中心に、治療法や家族の対応をお伝えしてきました。
以下に要点をまとめます。

  • アルツハイマー病は治る可能性が低い
  • アルツハイマー病の進行を遅らせる薬はアリセプト、レミニール、リバスタッチパッチ、メマリーの4種類
  • その他のアルツハイマー病の治療には、音楽療法、園芸療法、回想法などがある
  • 家族がアルツハイマー病になったときは、怒らない・否定しない・急かさないことが重要

最後までお読みいただきありがとうございました。

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