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アミロイドβって一体何!?認知症の原因とも言われる物質だった!?

アミロイドβは、認知症の原因とされる物質です。
しかし、「アミロイドβ」という名前を初めて耳にしたという方も多いと思います。

では、認知症とアミロイドβには、一体どのような関係があるのでしょうか。
また、アミロイドβとはそもそも何なのでしょうか。

本記事では、アミロイドβについて以下の点を中心にご紹介します。

  • アミロイドβの成分
  • アミロイドβが認知症の原因物質とされる理由
  • アミロイドβと関係のある認知症

この記事が、皆様のご参考になれば幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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アミロイドβってそもそも何なの?


アミロイドβは、脳内で作成されるタンパク質のうちの1つです。
アミロイドβは、約40個のアミノ酸で構成されています。
通常、アミロイドβは脳内で分解され、その後排出されます。

しかし、アミロイドβが排出されやすい物質と排出されにくい物質に分解される場合があり、その場合、排出されにくい物質は脳内に蓄積されていきます。

アミロイドβが集まると、神経細胞を変形させたり死滅させたりします。
そして、神経細胞の変形などによって「認知症」が起こるとされています。

また、脳内にアミロイドβが蓄積される原因については、明らかになっていません。

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アミロイドβと関係のある認知症って?

アルツハイマー型認知症の特徴である「老人斑」の主成分はアミロイドβです。
そのため、アミロイドβがアルツハイマー型認知症を引き起こすといわれています。

では、認知症になると一体どのような症状が現れるのでしょうか。
下に代表的な症状を記します。

こんな症状があったら注意?認知症のサイン

認知症の症状は、大きく分けて2つあります。

  • 中核症状
  • 行動や心理に出る症状(BPSD)

さらに、中核症状としての4つの症状が挙げられます。

  • 物忘れ
  • 時間や場所が分からない
  • 理解力・判断力の低下
  • 仕事や家事・趣味・身の回りのことができない

これだけでは分かりにくいため、それぞれ解説していきます。

物忘れ

「物忘れ」が認知症のサインとなる場合もあります。

具体的に例を挙げたので、以下をご覧ください。

  • 数分前や数時間前に起こったことを忘れやすくなる
  • 食事を食べたことを忘れるようになる
  • 同じ話を何度もする
  • 同じ質問を何度もする
  • 片づけたことや置いたことを忘れて、いつも探すようになる
  • 約束したことを忘れたり、買ったことを忘れて何度も同じものを買ったりする
  • 昔からよく知っている人やよく使っているものの名前を忘れる

など

ちなみに、認知症による物忘れと加齢による物忘れは違います。
具体的には以下のような違いがあります。

認知症による物忘れの例加齢による物忘れの例
朝食を摂ったことを忘れる朝食を摂ったことは覚えているが、メニューや食べた時間などを部分的に忘れる
物忘れの自覚はない物忘れの自覚がある
いつも探している自力で見つけることができる
症状は進行する非常に少しずつしか進行しない

時間や場所がわからない

認知症になると、時間や場所がわからなくなることもあります。

具体例としては、

  • 今の時間や日付がわからなくなる
  • 今いる場所や帰り道がわからなくなる
  • よく使用する道で迷子になることがある

などが該当します。
上記のような症状によって、日常生活に支障が出る恐れがあるので注意しましょう。

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理解力・判断力の低下

認知症のサインとして、理解力や判断力の低下を挙げることができます。
具体的には、以下のようなことが起こる可能性があります。

  • 手続きすることができなくなる
  • 通帳からお金を出したり、入れたりすることができなくなる
  • 今の状況を理解できなくなる
  • 説明をされる内容を理解できない
  • テレビ番組を観ても内容が理解できない
  • 運転中のミスが以前よりも増えた

など

集中力も低下するため注意が必要です

仕事や家事・趣味・身の回りのことができない

認知症になると、仕事や家事、趣味、そして身の回りのことができなくなることもあります。

具体的には、以下のような症状が現れます。

  • 仕事や家事・趣味、身の回りのことができなくなる
  • 仕事や家事・趣味の段取りが悪くなる
  • 仕事や家事・趣味に以前よりも時間がかかるようになる
  • 調理の味付けを間違えるようになる
  • 掃除や洗濯をきちんとできなくなる
  • 洗面や入浴の仕方がわからなくなる
  • 季節に合った服装を選んだり着たりすることができなくなる
  • 身だしなみを構わなくなる
  • 失禁の回数が増える
  • 食事中に食べこぼす回数が増える

以上の4つが中核症状として現れるサインです。
では、行動や心理に出る症状には一体どのようなものがあるでしょうか。

行動や心理に出る症状

行動や心理にも以下のような症状が現れます。

  • ささいなことで落ち込みやすくなったり、怒りやすくなったりする
  • 何をするのも面倒に感じるようになる
  • 好きだったテレビ番組や趣味などに興味を示さなくなる
  • 誰かに物を盗られた妄想をするようになる
  • 1人になると寂しがったり怖がったりする
  • やる気がなくなる

など

上記のように気持ちの浮き沈みや倦怠感、不信感などを抱きやすくなります。
認知症のサインに気づいたら、一度医師などの専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

認知症には差がある?認知症の種類

ちなみに、認知症にはさまざまな種類があります。
認知症の種類によって、現れる症状などの差はあるのでしょうか。

まずは、特に発症者が高いといわれている2つの認知症についてご紹介します。
それは、

  • アルツハイマー型認知症
  • 血管性認知症

というものです。

アルツハイマー型認知症

認知症を発症している方の約6割以上が、アルツハイマー型認知症です。
そのため、アルツハイマー型認知症の患者は認知症の中で一番多いといえます。

また、アルツハイマー型認知症は、アミロイドβが関係している認知症です。
アミロイドβによって脳の神経が変形し、脳の一部が萎縮していく過程で起こります。

アルツハイマー型認知症の方は物忘れをしやすい傾向にあります。
その他にも、以下のような症状も現れ、症状は以下の順番でゆっくりと進行していきます。

  • 新しいことを覚えられなくなる
  • 時間や日付、場所などが分からなくなる
  • お金の管理や家事などができなくなる

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血管性認知症

アルツハイマー型認知症の次に多いのが、血管性認知症です。

血管性認知症は、脳血管障害(脳梗塞など)によって起こります。
小さな障害(脳出血)を繰り返すことで、血管性認知症を発症することもあります。

血管性認知症の方に現れる症状は以下の通りです。

  • 物忘れ
  • 時間や場所がわからない
  • 仕事や家事・趣味・身の回りのことができない

また、現れる症状は脳血管障害が起こる箇所によって異なります。
さらに、一部の認知機能は維持されるため、症状はまだらに出現する傾向があります。
そのため、血管性認知症は「まだら認知症」とも呼ばれます。

血管性認知症の症状は、ゆっくりと進んだり急激に進んだりとさまざまです。
ちなみに、発症後に脳血管障害が起こると症状が進行する恐れがあるため注意しましょう。

脳血管障害が起こると以下のような症状が現れるため、進行しないように予防を心がけましょう。

  • 意欲の低下
  • 歩行障害
  • 言語障害
  • 嚥下障害

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その他認知症

アルツハイマー型認知症や血管性認知症以外にも、以下のような認知症があります。

  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭型認知症 など

それぞれの認知症の特徴を以下にまとめたので、あわせて知っておくことをおすすめします。

レビー小体型認知症前頭側頭型認知症
原因脳内にαシヌクレインが蓄積することが原因とされる認知症。蓄積されたαシヌクレインが神経細胞の障害を起こします。神経細胞が障害を起こし、脳の一部(前頭葉や側頭葉前方)が萎縮すると起こる認知症。脳の神経細胞の中にあるタウ蛋白とTDP-43が関与している可能性がある。
症状幻覚がみえたり、パーキンソン症状によって転倒のリスクが高まったりする。前頭葉に障害が起こると、人格や社会性、言語などに関する症状が出る。側頭葉に障害が起こると、記憶や聴覚、言語などに関する症状が出る。
症状例手足が震える、歩幅が小刻みになる、転びやすくなる、存在していない人や虫などが見えるようになる言葉がスムーズに出てこなくなる、言い間違える回数が増える、感情が抑制できなくなる、身だしなみに気をつかわなくなる、万引きをするなど社会のルールを守れなくなる、感情が鈍くなり共感できなくなる など

アミロイドβと認知症改善の関係は?


繰り返しとなりますが、アミロイドβが脳内に溜まると神経細胞が変形します。
そして、神経細胞が変形することでアルツハイマー型認知症が起こります。

そのため、アルツハイマー型認知症を改善するには、以下の2つが有効であると考えられています。

  • アミロイドβを脳内に蓄積させないようにする
  • アミロイドβを脳内から排出する

上記の改善方法を実現すべく、世界中の開発者たちは研究を重ねています。

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アミロイドβの除去が解決に至らない可能性


アミロイドβの除去が認知症の解決につながるというのは、1つの考察に過ぎません。
なぜなら、アミロイドβの除去方法は研究段階であるからです。

また、世界中の開発者に研究されていますが、いまだに結果を出せない状況にあります。
そのため、アミロイドβの除去が解決に至らない可能性も否定することはできません。

ちなみに、アルツハイマー型認知症の治療は、以下を目標に行われています。

  • できるだけ症状を軽くする
  • できるだけ進行速度を遅くする

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アミロイドβを除去する薬でも問題点が?


もしアミロイドβの除去薬を服用した場合、認知症の進行を抑制できると考えられます。
しかし、一度変形・死滅した神経細胞は再生しないため、失った機能の回復は困難です。

そのため、アルツハイマー型認知症になる前に予防することが大切です。

現在、発症前の段階での治療も目指しながら、薬の開発も進められています。
認知症で機能を失わないためにも、早期発見・早期の治療開始を心がけましょう。

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認知症を早期から予防することが大切!


認知症で機能を失わないためにも、早期から予防することが重要です。
では、予防するために一体どのような対策を行うことができるのでしょうか。

アミロイドβの蓄積は、アルツハイマー型認知症を発症する10年以上も前から始まるとされています。
そのため、まずはアミロイドβを溜めにくくする必要があります。

アミロイドβを溜めにくくする生活習慣を具体的に挙げると以下の通りです。

  • 適切な睡眠・良質な睡眠を摂る
  • 栄養バランスの良い食事を摂取する
  • 生活習慣病(高血圧や肥満、糖尿病など)を予防・治療する
  • 抑うつを予防する など

ぜひこの機会に、良質な睡眠や生活習慣を意識してみてはいかがでしょうか。

アミロイドイメージングの研究


アミロイドイメージングとは、脳に蓄積されたアミロイドβを画像として見る技術です。
撮影前に、アミロイドβの結合している以下の化合物のどちらかを静脈に注射します。

  • PiB
  • BF227

また、画像の撮影には「PET」と呼ばれる装置を使用します。

では、アミロイドイメージングの研究で、一体どのようなことがわかったのでしょうか。

どのようなことがわかったの?

まず、健康な方やアルツハイマー型認知症発症者におけるアミロイドβ蓄積量の割合を比較していきます。

健康な方におけるアミロイドβの蓄積量は21%となっています。
しかし、アルツハイマー型認知症発症者の蓄積量の割合は89%となっています。

出典:厚生労働省【アミロイドイメージングを用いたアルツハイマー病の発症・進展予測法の実用化に関する多施大規模臨床研究】3.各臨床区分のアミロイド陽性頻度とアポE

アルツハイマー型認知症の方の割合が4倍以上の値となっています。
また、アミロイドβの蓄積にはアポリポタンパク質Eの関与が考えられています。

どんな成果・影響があるの?

アミロイドイメージングは、認知症の方だけでなく健康な方にも使用できます。
そのため、幅広い方のアミロイドβの蓄積量を確認することができます。

また、アミロイドイメージングの検査方法は統一され、全国にある20以上の施設で統一使用されています。

アミロイドイメージングの実用化には、超早期での治療や発症の予防などの開発を促す効果があります。

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アミロイドβのまとめ


ここまで、アミロイドβに関する情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

  • アミロイドβは認知症の原因となる物質
  • アミロイドβが脳内に蓄積されると、神経細胞を変形させ、認知症を発症する
  • アミロイドβと関係のある認知症はアルツハイマー型認知症

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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